添田さんを返してください


 3月17日に那覇地裁で開かれた添田さん、山城博治さんら第一回の合同公判を傍聴してきました。
 手錠をかけられ入廷してきた添田さんを見て、隣に座っていたジャーナリストの安田浩一さんと顔を見合わせ、「…あれが彼だよね?」と確認しなければならないほど、添田さんの印象は以前とは変わっていました。長身はもちろんそのままですが、ふたまわりほどスリムになり、すっかり色が白くなった端整な顔のまわりに長くなった髪がふんわりとかかっています。
 誰もが言うように、添田さんの心には「強さとやさしさ」「たくましさとかわいらしさ」が同居しています。どれも規格外の強度で。その「強さ」や「たくましさ」は、6か月にも及ぶ勾留によって暴力的に奪われてしまったのです。それにより、持ち前の「やさしさ」「かわいらしさ」を全身からあふれ出させながら法廷に立つことになっている添田さんの姿に、正直言って衝撃を受けました。

 そのあと、裁判が始まると添田さんの目に強い光が宿り、本人による罪状認否ではしっかりした声で「私はいっさいやっておりません」と語ったので、私はほっと胸をなで下ろししました。しかし、裁判が分離して行われることになってひとり添田さんだけが退廷するときには、私も傍聴席にいた支援者たちも、そして添田さんと同じく被告席にいた山城さんまでもが涙をこらえることができませんでした。

 これまで私は那覇で2回、添田さんに面会しました。そのたびに彼はまっすぐ私の目を見ながら、「罪に問われるようなことは何もやってません」「取り調べでもウソはついてない。ちゃんと話してます」と言っていました。起訴された3つの事件はどれも凶悪犯罪などとはほど遠いもので、証拠隠滅のおそれなどあるわけもない。「逃亡しないように見張っておけ」と検察が言うなら、責任を持ってそうします。

 これ以上、添田さんから時間を、強さやたくましさを、人生を奪わないでください。
 私たちから、大切な友人を奪わないでください。
 早く「誰よりもタフで勇ましく、飛びぬけてやさしくてかわいらしい添田さん」を返してください。

香山リカ(精神科医)